昨日は横浜みなとみらいホールにて、フルート奏者・吉川久子さんのコンサート、「こころに残る美しい日本のうた 智恵子抄の世界に遊ぶ」を聴いて参りました。
とてもいい演奏会でした。
もちろん吉川さんの演奏がメインで、曲間に吉川さんご自身が『智恵子抄』収録詩の朗読をなさったり、光太郎智恵子についての解説をなさったりという構成でした。
曲目は以下の通り。
直接、智恵子に関わる曲はありませんでしたが、既存の曲の組み合わせでもたしかに『智恵子抄』の世界がうまく表現されていたように感じました。
吉川さんのフルートはもちろんすばらしく、伴奏のお二人(キーボード・海老原真二さん、パーカッション・三浦肇さん)の演奏も非常に工夫されていました。特にパーカッションは、いろいろな楽器……というより道具? を使って、効果音のような音を奏でていたのが面白く感じました。時に鳥のさえずり、時に虫の声、そうかと思えば川のせせらぎ、九十九里の波の音、などなど。
さらに曲間の吉川さんのMC。通り一遍の解説でなく、よく調べているな、と感心いたしました。数年前に発見された光太郎の短歌「北国の/女人はまれに/うつくしき/うたをきかせぬ/ものの蔭より」を引用されて、智恵子が時折、造り酒屋だった実家の杜氏たちが歌っていた酒造りの歌などを口ずさんでいたことに結びつけるなど。この短歌、一般にはほとんど知られていないはずですので。また、太陽が赤いという固定観念に異を唱える光太郎の評論「緑色の太陽」の話、智恵子の恩師・服部マスの話など、ずいぶんお調べになったのがわかりました。実際、二本松にも行かれたというお話でした。
それにしても、平日の昼間にもかかわらず、440席ほぼ満員でした。吉川さん、「こころに残る美しい日本のうた」と冠したコンサートはこれまでも定期的に続けてこられたようで、コアなファンがいらっしゃるようでした。「智恵子抄」だから、というお客さんがどの程度だったのか、興味のあるところですが。![イメージ 3]()
いつも同じことを書いていますが、こういう形でも光太郎・智恵子の世界を広めていただけるのは、本当にありがたいことです。
当方も明日は二本松に参り、智恵子のまち夢くらぶさん主催の「智恵子講座’13」にてしゃべって参ります。このところ、月に1~2件、この手の仕事が入っています(もっと増えるといいのですが……)。与えられた場で光太郎・智恵子の世界を広めて行きたいと思います。
【今日は何の日・光太郎】 6月15日
昭和27年(1952)の今日、裸婦像制作のための現地視察で、初めて十和田湖を訪れました。
画像は一昔前のテレホンカードです。
裸婦像に関しては、また折を見て詳述します。