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Channel: 高村光太郎連翹忌運営委員会のブログ
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大澤温泉菊水館一時休館。

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昨日、花巻の大沢温泉さんから郵便が届きました。角形2号(240㍉×332㍉・A4サイズ対応)の大きな封筒です。

当方、花巻に泊まる際にはよく利用させていただいていて、年に3回ぐらいはお世話になっています。そこで、忘れ物でも送って下さったのか、いや、それにしては、最後に泊まったのは7月だし……、イベントか何かの案内だろうか?……などと思いつつ、開封してみると……

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「菊水館」さんが、今月末で休業とのこと。驚きました。同時に、年三回程度の利用客にまでこの文書を送って下さる姿勢に感激しました。

大沢温泉さんは、通常の温泉旅館的な「山水閣」、長期の湯治客など用の「湯治屋(旧・自炊部)」、そして別館的な茅葺きの「菊水館」の三つに分かれています。

戦後の7年間、花巻郊外太田村に蟄居生活を送っていた光太郎も、ここの湯をこよなく愛し、たびたび訪れています。長い時には2週間も逗留しました。日記によれば、だいたい「山水閣」に宿泊したようですが(そこで「山水閣」には光太郎が泊まった部屋を再現した「ぼたんの間」がスイートルーム的に使われています)、「菊水館」に泊まったという記述もあります。公式サイトで光太郎を紹介して下さっていますし、「山水閣」内には光太郎にかかわる展示も為されています。

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そのうちの「菊水館」に通じる高明橋脇の法面(のりめん)が、8月9日に崩れ、通行ができなくなったそうです。

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8月9日といえば、女川光太郎祭の日。台風13号が日本列島を直撃していました。その影響でしょう。当方、今月初めに花巻に行きましたが、その際は鉛温泉さんに宿泊したので、存じませんでした。

「湯治屋」につながる曲がり橋は健在なため、そちらを使って営業を続けてこられたそうですが、冬になると積雪が半端ではないところなので、資材等の搬入が困難になるため、「菊水館」のみ休館だそうです。再開のめどは立っていないとのことですが、早期再開を目指すそうで、そうあってほしいものです。

当方、大沢温泉さんでは主に「菊水館」に宿泊しています(何度泊まったかもはや思い出せません)。光太郎も泊まった築160年の趣、食事も美味しく、事前に「苦手な食材は?」的な質問もして下さるなど、細やかな対応がなされています。それでいてリーズナブルな料金。曲がり橋を渡って露天風呂に行くというのも風情があります。

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「山水閣」、「湯治屋」は健在ではありますが、当方にとっては、やはり「菊水館」。そういう方も多いのではないでしょうか。一日も早い再開を願ってやみません。


【折々のことば・光太郎】

現代のむつかしくなやましい社会生活の中にあつて、否応なしに気むつかしくなつているわれわれも、たまには「雅歌」のような古い、幼稚な、人間初発の、謀略のない声をきくと楽しい。馬鹿らしいほど単純だと思いながら、やつぱり読む。

散文「雅歌」より 昭和30年(1955) 光太郎73歳

「雅歌」は聖書の一節で、神に対する信仰の告白的な内容ですが、光太郎は男女の恋愛詩としても読めるとしています。特に好んだのが「北風よ起れ、南風よ来れ、我園を吹きてその香りを掲げよ。ねがはくはわが愛する者のおのが園に入りきたりてその佳き果を食はんことを」の句で、書として揮毫したりもしています。

古い、幼稚な、人間初発の、謀略のない声」も、光太郎の目指した一つの境地でしょう。ただ、光太郎詩は「馬鹿らしいほど単純だ」とは思いませんが。

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