昨夜放映されたTV番組を2本、ご紹介します。
まず、NHK Eテレさんの「びじゅチューン!」。古今東西の美術作品を、愉快なアニメーションと唄で紹介する5分間番組です。光太郎ブロンズ彫刻の代表作「手」(大正7年=1918)をモチーフとした、新作の「指揮者が手」が初披露されました。
「手」が燕尾服に身を包み、コンサートで指揮者を務めるという、何ともシュールな設定です(笑)。バックには、とぼけた歌詞のゆる~いワルツ。作詞作曲、歌唱、それからアニメーション制作のすべてを、マルチアーティスト・井上涼氏が手がけています。
右下には光太郎。そして光太郎へのオマージュとして、鯰やレモンが登場。ロダンを肴にした「ランチは地獄の門の奥に」でもそうでしたが、わかる人にしかわからない遊び心が散りばめられています。
なぜか「手」によるテルミンのソロも。どうも「て」で韻を踏んでいるようです。
光太郎の紹介もきちんとなされます。詩人としても活躍したこと、ロダンの影響を強く受けたことなど。
井上氏、この「手」のフォルムが、何かを伝えたいと訴えていると感じたとのこと。そこからのインスパイアなのですね。
アニメーションは、通常の歌付きバージョン(公式サイトに動画掲載)と、コーラス入りバージョンの2回、流れます。合間に井上氏によるトーク、さらに最後にも井上氏がご登場。「道程」を紹介して終わります。
来週月曜日、11月5日の早朝5時55分~6時00分と、深夜24時50分~24時55分(11/6未明)に、それぞれNHK Eテレさんで再放送があります。
続いて、NHK総合さんでの「歴史秘話ヒストリア 新発見! 愛をうたった女たち 晶子と白蓮」。
柳原白蓮、そして光太郎の師・与謝野晶子の2本立て。晶子の部分は平成23年(2011)放映の「今こそ夫婦のチカラ! ~明治最強カップル 与謝野晶子と鉄幹~」からの使い回しが多かったようです。
当方もお世話になっている歌人の松平盟子氏のコメント。平成23年のオンエアからの使い回しだそうで。
さかい利晶の杜 与謝野晶子記念館さんなどに取材した新たな映像も。
晶子の動画も流れ、興味深く拝見しました。
『明星』に集った若き才能、という部分で、光太郎の名が出るか、と思っておりましたが、そちらは啄木、白秋、吉井勇。
「びじゅチューン!」に続いてロダン。
残念ながら、光太郎には触れられませんでした。しかし、なかなか見応えがありました。
こちらも再放送があります。11月3日(土) 、午前10時05分~10時50分、やはりNHK総合さんです。見逃した方、ぜひどうぞ。
もう1点、やはり晶子がらみのTV番組の放映がありますのでご紹介します。平成27年(2015)に放映されたものの再放送だそうですが。
日本伝統温泉の旅 #5「群馬県 法師温泉 長寿館」
BS12トゥエルビ 2018年11月5日(月) 27時00分~27時30分(11/6未明)
日本は、3000以上の温泉地を持つ温泉大国。私たち日本人は、遥か昔から、大地からの大いなる恵みを楽しみ、愛し続けてきました。日本各地に残る伝統の温泉地を紹介します。
群馬県みなかみ町にある、法師温泉。その昔、弘法大師が発見したのがその名の由来とも言われています。周囲の優雅な自然のもたらす日本情緒が、与謝野晶子ら多くの文人たちにも愛された、伝統ある温泉です。
ナレーション 千葉繁
群馬県の法師温泉さん。「与謝野晶子ら多くの文人たちにも愛された」とありますが、光太郎も大正末から昭和初めにかけ、4回程訪れています。
そのうち、昭和4年(1929)には、詩人の尾崎喜八とともに訪れ、尾崎が詳細な回想を残しています。当方には未踏の地、いずれ行きたいと思いつつまだ果たしていません。この番組で予習した上で、行ってみようと思います。
テレビといえば、各地のローカルニュースで光太郎の名が出ています。あすはそのあたりを。
【折々のことば・光太郎】
美術と音楽はその領域をまるで異にしながら、即ち内と外、造型把握と内面創造との各自の特質を堅持しながら、しかも全く同一といつていい精神高揚の究極性を持つて居り、相互が相互を拒否しながら養ひ合つてゐるのである。
散文「たのしい望み」より 昭和23年(1948) 光太郎66歳
「びじゅチューン! 指揮者が手」を観つつ、当方も同じようなことを感じました。